抗がん剤治療を行う女性のために

「フィットミー」開発秘話

医療用ウィッグ開発のきっかけ

約18年前、永年にわたり美容室からお客様へウィッグをお届けしてきた背景から、冠婚葬祭やおしゃれ、薄毛や白髪対策などの悩みでウィッグを使用されているお客様以外に、がん治療の化学療法でウィッグを利用されている患者さまが年々増えていることがわかってきました。しかし当時のウィッグには、抗がん剤治療による患者様がかかえる多くのお困りごとやお悩みに対応できる工夫や機能を持つ「既製品の医療用ウィッグ」は弊社を含む大手メーカーでも特注以外ほとんど作られていませんでした。

そこで美容室や患者様の声を集め、最終的に1、抗がん剤治療による脱毛期でも頭皮が透けない。2、敏感になった頭皮を保護しいつも清潔に着用できる。3、通常期~脱毛期~回復期と何度も変わる頭のサイズ変化に柔軟に対応できる。以上3つの機能を備えた医療用ウィッグの開発に着手しました。

開発の苦労

最初の「頭皮が透けない」というテーマでは、通常のウィッグより毛量を多く、キャップを2枚にするという従来のウィッグへのひと工夫で課題をクリアしました。

続いて「頭皮の保護といつも清潔に着用できる」というテーマでは、頭皮に触れる(=汗や皮脂が浸み込む)部分を“毎日付け替えることができる機能”というアバウトな切り口からのアプローチで試みましたが、実用性・経済性・生産性ともに商品化できるレベルには達せず、素材として有効だと思われた吸湿速乾性ネットのみ採用の方向という状況が数か月間続きました。 そんなある日、美容室からおしゃれウィッグのサイズ変更依頼の特注がありました。ちょっと変わった寸法での依頼だったことと、あまりお急ぎでなかったことから通常の特注よりも製作日数がかかることをご了承いただき、まずはご依頼の寸法通りのウィッグ用キャップを製作し、お客様に試していただいた後に植毛をしようということになりました。 数週間後そのお客様用に仕上がった植毛前のキャップを見たとき、「あの吸湿速乾性素材でキャップを作りそのキャップの上からウィッグを着用して・・・これを2枚用意すれば交換できる!」 という具体的なイメージが出来上がった瞬間でした。

今度は吸湿速乾性ネットを材料として頭に添わせる次の段階であるキャップの縫製方法へと進みましたが、ここからはそんなに長く日数を要することはなく、こうして独自のインナーキャップ方式を備えたウィッグができあがりました。

思えば日頃は、仕上がったウィッグをどのように・・・ばかりを考えていましたがウィッグの成り立ちという基本に立ち返りさえすれば、もっと早くたどり着けた結果だったように思います。

最後のテーマ「サイズ変化への柔軟な対応」は2のテーマのクリアがそのまま最後の課題をもクリアしていました。つまり、あまり脱毛していない抗がん剤治療初期には、インナーキャップなしでウィッグを着用。 次に脱毛度合いが進行~スキンヘッド~回復まではインナーキャップ着用の上からウィッグを着用。 回復直前から自髪デビューまでは再びウィッグのみを着用。少なくなった髪の量をインナーキャップが補うという効果が同時に生まれていました。

あとはインナーキャップにもある程度のサイズ調整機能を付ける工夫をすれば、一つのウィッグでサイズの変化に十分対応が可能な医療用ウィッグに仕上がります。

こうして医療用ウィッグ「フィットミー」2スタイルを2003年発売、独自のインナーキャップ方式は当時実用新案登録されました。

今後の展開

現在私たちは医療用ウィッグに必要な機能やサービスを以下のように考えています。

1. 毛量の変化への対応

2. デリケートな頭皮への対策

3. 着用時の不安の解消

4. おしゃれなスタイル

5. リーズナブルな価格

6. 取扱いのしやすさ

医療用ウィッグ「フィットミー」は、これらテーマを元に考えられており、一昨年はデリケートな頭皮への対策強化のため抗菌・消臭・防汚のTioTio加工をウィッグ全体に施し、今後もそれぞれの項目に対して改良・進化を続け、抗がん剤治療中の患者様をサポートできる商品づくりに邁進してまいります。